原子力による電力を安定供給するためには、ウラン資源を有効に利用するための技術を確立することが必要です。より効率的にウランを活用する高速炉や原子燃料サイクル技術がこれらに相当します。当社はこれらの技術開発に取り組んでいます。
当社は、高速実験炉「常陽」、高速増殖原型炉「もんじゅ」の設計・建設に携わってきました。引き続き高速炉の推進および実用化に主要機器メーカとして貢献していきます。
高速実験炉「常陽」
高速増殖原型炉「もんじゅ」提供:国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
日本原燃株式会社が建設中の日本初の商業用原子燃料サイクル施設である、六ヶ所再処理工場の運転開始に向け、新規制基準に対応した設計、製作および改造工事に参画することで、より安全な燃料サイクルの確立とともに、原子力プラントの安定的な運転に向けて取り組んでいます。
使用済燃料受入れ・貯蔵建屋:再処理工場に運び込まれた燃料を十分に放射能が弱まるまで冷却及び一時貯蔵します。
冷却された燃料を、せん断機で細かく切断し、硝酸を入れた溶解槽で燃料部分と被覆管部分とに分別します。この燃料を溶かした硝酸溶液から、清澄機で不溶解残渣を除去します。
前処理からの硝酸溶液を、ウランとプルトニウム、核分裂生成物に分離します。
ウラン溶液とプルトニウム溶液から微量の核分裂生成物を分離し、精製します。
精製されたウラン溶液とウラン・プルトニウム混合溶液から硝酸を取り除き、ウラン酸化物粉末とウラン・プルトニウム混合酸化物粉末を作ります。
当社はこの再処理工場において、主に使用済燃料受入れ・貯蔵建屋、分離建屋、精製建屋、低レベル廃液処理建屋および制御建屋に対し、製品を納入しております。
使用済燃料受入・貯蔵建屋において、以下の設備および機器を納入しています。
冷却期間を終えた使用済み燃料を、せん断および溶解する前処理建屋に、以下の設備および機器を納入しています。
この設備では、溶解時に発生する揮発性の放射性核種(よう素)を分離、吸着します。
よう素追出し塔(純ジルコニウム製)全高:約6m
分離建屋では、前工程から送られてきた硝酸溶液を溶媒といわれる油性の溶液と接触させ、ウラン・プルトニウムと核分裂生成物とに分離、さらに分配設備にてウランとプルトニウムへと分離が行われます。
当社はこの建屋に、以下の設備および機器を納入しています。
高レベル廃液濃縮缶
分離・精製施設主要機器のうち、原子燃料からウランやプルトニウムなどを取り除いた後に残る高レベル廃液を濃縮、減容させるための機器です。
精製工程が行われる精製建屋では、ウラン溶液及びプルトニウム溶液中に含まれている微量の核分裂生成物をさらに取り除き、純度を高める工程が行われています。
当社はこの建屋に、以下の設備および機器を納入しています。
酸回収設備蒸発缶(気液分離装置)
分離・精製施設主要機器のうち、使用済み原子燃料からウランやプルトニウムなどを取り出した後の廃液から硝酸を回収するための機器です。
再処理工場敷地内の各工程の運転・監視は、制御建屋にある中央制御室にて集中的に行われています。
当社は、軽水炉で培った、信頼性が高く、運転操作性、保守性に優れた計測制御技術にもとづき、分散型制御装置システムを納入しています。
再処理施設中央制御室(提供:日本原燃株式会社)
工場出荷前の製品群
次世代再処理技術としてフッ化物揮発法再処理「FLUOREX法*1」の開発を推進しています。この再処理法は、フッ化物の蒸気圧の違いを利用し、高回収率・高純度にU、Puを回収可能であり、廃棄物発生量が少なく、経済性の高い再処理法です。
次世代再処理技術として開発してきたフッ化物揮発法を応用し、福島第一原子力発電所で発生した燃料デブリそのものや、燃料デブリ取り出しに伴い発生する廃棄物の合理的な管理に資するため、フッ化処理により核燃料物質と放射性廃棄物とに分別する技術を開発しています。
原子力発電所から中間貯蔵施設へ運ぶ使用済燃料の「輸送」、中間貯蔵施設での「貯蔵」、そして中間貯蔵施設から再処理施設への「再輸送」。当社はこれら3つの機能に、経済性と長期信頼性を両立させた『輸送貯蔵乾式金属キャスク』を製品化しています。
電気事業連合会ホームページより(一部修正)
中間貯蔵施設 (リサイクル燃料貯蔵株式会社ホームページより)
当社では開発当初より、輸送時や貯蔵時の安全性や耐久性について、解析検討や各種試験を実施して、その機能が満足されることを確認しています。
輸送貯蔵乾式金属キャスク