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Hitachi GE

日立GEニュークリア・エナジー株式会社

【2017年3月13日】 -GE日立ニュークリア・エナジー(以下、GEH)とAdvanced Reactor Concepts LLC(以下、ARCニュークリア社)は、先進の小型モジュール原子炉(aSMR)の開発とライセンス供与について提携することに合意しました。aSMRは、成熟した第4世代ナトリウム冷却原子炉技術をベースにしています。

GEHとARCニュークリア社は競争促進的な提携契約を締結する覚書を交わしました。この目的は、カナダでの初号機建設を経て世界の発電市場に投入することを目指し、aSMR設計を共同して進めることにあります。両社は、米国における早期の技術ライセンス供与の成功に基づき、カナダ原子力安全委員会のベンダー設計審査プロセスを通じて同委員会による予備規制審査を受けることになります。この提携による商業化プログラムには、建設費/事業費の見積りの確定や、aSMRのリードプラント所有者/事業者の特定といった短期的な目標も含まれています。

GEHとARCニュークリア社は、それぞれEBR-IIをベースとした新型原子炉の設計開発を行なっています。EBR-IIは、アルゴンヌ国立研究所によって開発されたナトリウム冷却一体型高速原子炉のプロトタイプであり、アイダホ州アイダホフォールズで30年以上にわたり正常に運転されました。米国の高速スペクトル原子炉技術において、試験データ、設計の成熟度、プログラム情報や運転実績の点でEBR-IIを超えるものはありません。

GEHのPRISMとARCニュークリア社のARC-100のこれら2つの原子炉設計は、それぞれ異なる目的に重点を置いています。ARC-100は、効率性と柔軟性に優れた発電と同時に、燃料補充を必要とせずに最長20年間稼動することを目的に設計された100 MWeのaSMRです。これに対し、PRISMは12~24カ月ごとに燃料補充するよう設計されており、特に超ウラン元素を燃焼消費させて核燃料サイクルを完成させることに主な重点を置いています。それにもかかわらず、両社のaSMR設計の基本的な特徴(高エネルギー中性子、液体ナトリウム冷却、金属燃料など)は一致しており、これらの特徴が相まって本質的な安全性能と、従来の水冷却原子炉よりも経済的なプラント設計が実現されています。この新型原子炉技術は運用上の柔軟性が高いため、真の負荷追従運転を実現し、現在展開中の再生可能エネルギー技術による間欠的な発電を補完することができます。

「GEHは、幅広いエンジニアリングの経験と技術的な造詣の深さを備え、ナトリウム冷却高速原子炉技術プログラムに多大な投資をしています。この技術プログラムのベースには、世界60カ所を超える沸騰水型原子炉のOEMとして、60年にわたる歴史に基づくものです。ARCニュークリア社の長年にわたるナトリウム冷却高速原子炉の経験をこの提携に活かし、両社が協力することで、この技術の商業化を推進できるでしょう。」と、GEHの社長兼CEOであるジェイ・ワイルマンは述べました。

「ARCニュークリア社は、米国エネルギー省で高速原子炉の基本技術の開発と実証に携わったテクニカルリーダーである、EBR-II原型プログラムの主要な上級科学者やエンジニアを擁し、ナトリウム冷却高速原子炉の経験が豊富です。GEHとの提携により、進化を続けるエネルギー市場に経済的かつカーボンフリーで実用規模の原子力発電を短期間で投入できるものと確信しています」と、ARCニュークリア社の会長兼CEOのDon Wolf氏は述べています。

新型原子力技術および小型モジュール原子炉の設計は90以上あり、それらの開発段階はさまざまですが、GEHとARCニュークリア社は、20基を超える過去の原子炉から得た長年の事業経験により、ナトリウム冷却高速原子炉を最も成熟した新型原子炉技術と捉えています。

GE日立ニュークリア・エナジー(GEH)について

米国ノースカロライナ州ウィルミントンに拠点を置くGEHは、先進の原子炉および原子炉関連のサービスを提供する世界有数の企業です。GEHは、2007年6月にGEと日立製作所の原子力分野の事業提携により設立されました。原子力分野における新たな提携関係の締結により、GEと日立製作所は統一の戦略的なビジョンを掲げ、より広範なソリューションを提供するとともに、原子炉の新設や原子力関連サービスを提供する機会を拡大していきます。この提携関係は、世界中のお客さまに原子炉の性能、出力、および安全性の向上を実現するために必要な技術的リーダーシップを提供します。

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