GE日立ニュークリア・エナジーがESBWRの設計認証書類を提出完了

ノースカロライナ州ウィルミントン 2009年9月9日】 GE日立ニュークリア・エナジー(GEH)は、このたび、世界で最も先進的な原子炉設計の導入に向けて、大きな躍進を遂げました。

GEHは、次世代原子炉とされる 革新型単純化沸騰水型原子炉(ESBWR)の設計認証書類の米国原子力規制委員会(NRC)への提出手続きを完了しました。NRCは、GEHのESBWRの設計認証に関する評価を進めていますが、本書類の詳細情報をもとに、認証の最終段階に入ることになります。

ESBWRは、次世代原子炉の世界展開に不可欠な、最先端の受動的安全性と経済的な優位性を持っています。

改良型沸騰水型原子炉(ABWR)に代表される「第3世代」原子炉を更に進化させた「第3世代プラス」に位置づけられるESBWRの設計が認証されれば、GEHが次世代原子炉を世界的に導入する推進力となります。原子力発電は、拡大するエネルギー需要を満たす供給源としてだけでなく、二酸化炭素の排出量がほとんどなく、気候変動問題への対応策としても注目されています。

GEHのジャック・フラー社長兼最高経営責任者(CEO)は「米国でエネルギー政策の議論が高まる中、発電時において二酸化炭素が発生しない原子力発電はきわめて中枢的な役割を果たすことになるでしょう。クリーンなエネルギーは、エネルギーの将来への道筋を、より明るく照らし出し、エネルギーの安定的な生産につながります。
新たなクリーン・エネルギー基準の採用には、政府の支援策が不可欠です」と述べています。

ESBWRは、受動的安全システムと簡素化されたデザインにより、すでに十分安全な米国の既存原子炉よりもさらに大きな安全裕度を備えており、世界で最も先進的な原子炉デザインであるとGEHは考えています。

ミシガン州のデトロイト・エジソン社とバージニア州のドミニオン・エナジー社の電力二社は、ESBWRに関する建設・運転一体認可申請書(Combined Operation and Construction License)を提出しています。また、米国・エネルギー省が支援する企業連合であるニュースタート・エナジーも、エンジニアリング、認可取得、そして商業化の政府支援を受けるため、エネルギー省が策定した原子力発電所の新設を推進する「原子力2010プログラム」においてESBWRを選択しています。

8月31日、GEHは1,520MWeの容量をもつESBWRの設計認証書類の改訂版を提出しました。GEHの最終目標は、NRCから認証を受けた原子炉を数多く手がけることです。NRCの審査におけるデータは、GEHが将来欧州や世界の他地域でプロジェクトを拡大する際に役立ちます。

GEHの手がける原子炉には、ESBWRのほかにABWRがあります。世界で唯一の第3世代原子炉であるABWRは、米国で認証を受け、建設・運転で成功を収めてきました。日本には4基のABWRが運転中で、GEと日立は世界的な原子力事業提携を通して日本と台湾でさらに4基を建設しています。

1,350MWeの容量をもつGEHのABWRは、1997年にNRCから設計認証を受けました。GEHは、ABWRの設計認証を2012年からさらに15年更新する考えをNRCに通知済みです。

米国の次世代の原子力発電所建設において、GEHは引き続き先進的なモジュール工法の導入を今後も続ける方針です。アジアにおける原子力発電所の新設が急増する中、GEHが世界的に展開する原子力事業の提携関係が後押しとなると期待されます。

GEHは、世界でESBWR、ABWRの両製品の導入機会を探っています。インドでは、同国唯一の原子力発電会社であるインド原子力発電公社(NPCIL)と、ABWRを複数基建設するための製造・建設管理の計画立案で覚書に調印しました。NPCILは、すでに17基の原子炉を運転しています。

ABWRとESBWRの両原子炉は、CO2の年間排出量が一般的な米国の発電設備よりも670万トン少ないとされています。この差は、自動車130万台の年間CO2排出量に相当します。

運営コストと保守コストの面では、米国で現在運転中の第1世代・第2世代の原子炉と比べ、1キロワット時につきABWRは34%、ESBWRは同40%のコストを削減できます。次世代型原子炉は、発電能力が高く、またシステムの簡易化により設備利用率を高められることが主なコスト削減要因です。

ESBWR、ABWRの両原子炉の設計は、GEのエコマジネーション製品の認定を受けています。エコマジネーションは、差し迫った運用・環境課題に直面するお客様を支援する新技術を積極的に市場にもたらすための、GEの全社的な取り組みです。

GE日立ニュークリア・エナジーについて

米国ノースカロライナ州ウィルミントンに拠点を置くGE日立ニュークリア・エナジー(GEH)は、改良型原子炉や原子力燃料、および原子炉関連のサービスを提供する世界有数のプロバイダーです。GEHは、2007年6月に、GEと日立製作所の原子力分野の事業提携により設立されました。原子力分野における新たな提携関係の締結により、GEと日立製作所は統一された戦略的なビジョンを掲げ、より広範なソリューションポートフォリオを提供するとともに、原子炉の新設や原子力関連サービスを提供する機会を拡大します。この提携関係は、世界中のお客さまに原子炉の稼働率、出力、および安全性の向上を実現するために必要な技術的リーダーシップを提供します。

この件に関するお問い合わせ先

GEエナジー広報部 [担当:新村(シンムラ)]
電話:080-3476-5892
izumi.shimmura@ge.com

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