カナダ サスカチュワン州と日立が放射線医療分野における共同研究開発に関する覚書を締結

日立GE、GE日立、GNF-Aは小型原子炉技術と燃料分野の研究開発で合意

2011年8月26日
The Government of Saskatchewan
株式会社日立製作所
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
GE-Hitachi Nuclear Energy Americas LLC
Global Nuclear Fuel - Americas, LLC

カナダのサスカチュワン州政府(The Government of Saskatchewan/以下、サスク州政府)と株式会社日立製作所(以下、日立)は、このたび、共同で放射線を利用した医療分野における研究開発を行うことに合意し、覚書を締結しました。
また、サスク州政府は、日立GEニュークリア・エナジー株式会社(以下、日立GE)、GE-Hitachi Nuclear Energy Americas LLC(以下、GE日立)、およびGlobal Nuclear Fuel - Americas, LLC(以下、GNF-A)と、原子力発電の安全性向上や小型原子炉技術、ウラン回収技術など将来の原子力技術に関する研究開発を共同で行うことで合意しました。

サスク州と日立は、過去40年以上にわたり、石炭火力、天然ガス火力、風力など、さまざまな 発電分野で協力関係にあり、日立はサスク州の電力会社であるサスカチュワン州電力公社(Saskatchewan Power Corporation/以下、サスクパワー社)に発電設備を提供してきました。1988年には、サスク州に発電機器の製造拠点として日立カナダ・インダストリーズ社(Hitachi Canadian Industries Ltd)を設立し、サスク州およびサスクパワー社と緊密な関係を築いてきました。2010年2月には、サスクパワー社と日立の間で、CO2回収・貯留(CCS:Carbon Capture and Storage)技術をはじめとする低炭素エネルギー技術分野での技術開発および運用における 協力協定に合意し、本合意の下、日立は、サスクパワー社が計画を進める世界有数の大型CCS実証計画であるバウンダリーダムCCS実証プロジェクト向けに、蒸気タービンおよび発電機を受注しています。さらに、2010年5月には、サスク州政府と日立の間で、CCSや、再生可能エネルギー、スマートグリッドをはじめとする、エネルギーおよび環境技術の開発に関する協力に合意しています。

このたび、サスク州政府と日立は、両者の協力関係をさらに深め、新たに、放射線を利用した検査・医療技術などの原子力分野における研究開発を行うことに合意しました。
日立は、電力システム事業を通じて、加速器や放射線照射/制御に関する豊富な技術・ノウハウを生かし、陽子線がん治療(PBT*1)システムの開発を進めてきました。2008年5月には、腫瘍の形状に合わせて高い精度で陽子線を照射できる「スポットスキャニング照射技術」を実用化し、世界最大級のがん専門病院である米国のM.D.アンダーソンがんセンターに、一般病院としては世界で初めて同技術を採用したシステムを納入しました。さらに、2011年5月には、米国の大手総合病院から本技術を適用したPBTシステム二式を一括受注しています。これらの日立が保有する高い技術力と多くの実績がサスク政府から評価され、今回、放射線医療分野での研究開発を共同で行うこととなりました。

原子力市場に関しては、カナダは、現在、18基のカナダ型重水炉(CANDU炉)が運転されており、総発電電力量の約15%を原子力が担っています。また、カナダは、原子力発電の燃料となるウランの世界最大の生産国であり、そのすべてのウランがサスク州で生産されています。

このような背景の下、サスク州政府と日立GE、GE日立、GNF-Aは、小型原子炉の設計および事前調査、品質検査の結果、実際に使用されなかった燃料棒からウランを取り出して再利用するウラン回収技術などの研究開発を共同で行うこととなりました。

サスク州政府と日立、日立GE、GE日立およびGNF-Aは、これら2つの覚書で合意した放射線を利用した検査・医療技術や材料科学、原子力発電の安全性向上、小型原子炉技術の研究開発・検証に関して、総額1,000万カナダドル(約7.8億円*2)の投資を行う予定です。サスク州政府と、日立、日立GE、GE日立およびGNF-Aは、今後5年間でそれぞれ500万カナダドル(約3.9億円*2)を投資し、サスカチュワン大学、レジャイナ大学、サスカチュワン研究委員会、カナディアン・ライト・ソースなどのサスク州にある大学・研究機関とも協力していきます。

今回の1,000万カナダドル(約7.8億円*2)の投資は、今年初めにサスク州政府が発表している、放射線を利用した検査・医療技術や材料科学の研究機関設立のための3,000万カナダドル(約23.4億円*2)、サイクロトロン*3科学の研究機関設立のための1,700万カナダドル(約13.3億円*2)、救命医療用アイソトープの研究支援のための1,200万カナダドル(約9.4億円*2)、サスカチュワン大学でサスク州初となるがんや心臓疾患の診断・治療を行うPBT/PET*4設備開発のための1,010万カナダドル(約7.9億円*2)の投資に基づくものです。

サスク州政府と日立は、放射線医療分野の研究開発を推進することで、カナダにおけるがん治療の改善に貢献していきます。また、サスク州政府と日立GE、GE日立、GNF-Aは、原子力分野における協力関係を新たに構築し、サスク州における安全かつクリーンなエネルギーの供給と低炭素社会の実現をめざしていきます。

*1
PBT:Proton Beam Therapyの略。
*2
東京外国為替市場8月25日始値の為替レート(1カナダドル=約78円)
*3
サイクロトロン:加速器の一種で、向かい合わせた直流電磁石の極の間に、中空円板を二つに切断した形の電極を置いて高周波をかけ、イオンを磁場の作用で回転させながら電場で加速して高エネルギーの粒子線をつくり出す装置。
*4
PET:Positron Emission computerized-Tomographyの略。ポジトロン放出断層撮影法。

日立GEニュークリア・エナジー株式会社について

日立GEは、原子炉関連設備の開発、計画、設計、製造、検査、据付、試運転、保全サービス、およびこれを統括するプロジェクトマネジメントを一貫して実施する体制を持つ世界トップクラスの総合プラントメーカーです。これまで建設中も含めて国内で23基の実績があります。この中で、とりわけ、最新の改良型沸騰水型原子炉(Advanced BWR/以下、ABWR)については全てのABWRプラントに参画(国内運転開始済4基、国内建設中3基)しています。海外では、台湾の龍門原子力発電所向けに、主要な原子炉設備を納入しています。

GE日立ニュークリア・エナジーについて

米国ノースカロライナ州ウィルミントンに拠点を置くGE日立ニュークリア・エナジー(GE日立)は、改良型原子炉や原子力燃料、および原子炉関連のサービスを提供する世界有数のプロバイダーです。GEHは、2007年6月に、GEと日立製作所の原子力分野の事業提携により設立されました。原子力分野における新たな提携関係の締結により、GEと日立製作所は統一された戦略的なビジョンを掲げ、より広範なソリューションポートフォリオを提供するとともに、原子炉の新設や原子力関連サービスを提供する機会を拡大します。この提携関係は、世界中のお客さまに原子炉の稼働率、出力、および安全性の向上を実現するために必要な技術的リーダーシップを提供します。

Global Nuclear Fuel - Americas, LLCについて

Global Nuclear Fuel Hoding Co., LLC(GNF)は、GE、株式会社東芝および日立の3社の合弁会社であり、BWR型原子力発電所向けの二酸化ウランやMOX燃料などの燃料供給や燃料に関連するエンジニアリングなどを行っています。GNFは、米国ではウィルミントン市に本拠地を置くGNF-A、日本では久里浜市に本拠地を置くGlobal Nuclear Fuel – Japan Co. Ltd.を通じて事業を展開しています。

日立とGEの原子力事業分野での協力関係について

日立とGEは、2007年に日本と米国に原子力発電所の建設ならびに保守・サービス事業を行う合弁会社を設立しました。日本に本拠地を置く合弁会社は日立GEニュークリア・エナジーで、日立が約80%、GEが約20%を、米国に本拠地を置く合弁会社は、GE日立ニュークリア・エナジーで、GEが60%、日立が40%を出資しています。両社は、これまで培ってきたノウハウ、経験を生かしながら、グローバルに事業活動を推進しています。

以上