リトアニアの新規原子力発電所建設プロジェクトに関する合意について

 

2012年3月30日
株式会社日立製作所

株式会社日立製作所(執行役社長 : 中西 宏明/以下、日立)は、このたび、リトアニア共和国(以下、 リトアニア)が計画するビサギナス原子力発電所建設プロジェクト(以下、本プロジェクト)に関して、リトアニアエネルギー省と事業権付与契約(コンセッション・アグリーメント)に関して合意をしました。なお、本契約は、2012年3月から開催しているリトアニア国会での承認を経て、正式に締結されます。

リトアニアは、同国北東部のビサギナスで新規原子力発電所の建設を計画しており、2021年の運転 開始をめざしています。2008年には、本プロジェクトに対する出資に関する交渉を行い、同プロジェクトを推進するためのプロジェクト会社ビサギノ・アトミネ・エレクトリネ(Visagino Atomine Elektrine/以下、VAE)を設立し、2009年にはリトアニア国会がビサギナスでの原子力発電所建設を認める法案を採択しています。

日立および日立GEニュークリア・エナジー株式会社(取締役社長 : 魚住 弘人/以下、日立GE)は、 リトアニア政府に対して、第三世代原子炉として世界で唯一運転実績のある改良型沸騰水型原子炉(Advanced Boiling Water Reactor/以下、ABWR)を提案しました。日立は、2011年7月にストラテジック・インベスターとして選ばれ、2011年12月には事業権付与契約の主要条件(タームシート)の仮調印を行っています。
このたび、日立は、リトアニアエネルギー省と事業権付与契約に合意し、リトアニア政府への承認申請の手続きをすることになりました。本契約がリトアニア国会で承認後、日立やVAE、周辺諸国などが出資し、設立するプロジェクト会社に発電所建設における事業権が付与されます。本プロジェクト会社は、EPC(設計・調達・建設)などについて、2012年夏頃を目処に、最終契約の締結をめざします。

今回提案しているABWRは、東日本大震災の経験を踏まえ、代替電源の確保や機動的な除熱機能の復旧対策反映等、安全性をさらに向上させたものです。なお、建設プロジェクト遂行にあたっては、日立の原子力事業のパートナーである米国GEおよびGE日立ニュークリア・エナジーとも連携します。さらに、日立および日立GEは、本プロジェクトにおいて現地企業との協力関係も構築し、現地の産業における発電所の建設と運営の双方での雇用の創出にも貢献していきます。

日立は、高信頼・高効率な情報・通信システム技術に支えられた社会インフラを提供する「社会イノベーション事業」のグローバル展開を加速しています。日立は、リトアニアも含め、中東欧を注力地域の1つとして位置づけ、社会イノベーション事業を軸に、さらなる事業拡大を図っていきます。

日立GEニュークリア・エナジー株式会社について

日立GEは、原子炉関連設備の開発、計画、設計、製造、検査、据付、試運転、保全サービス、およびこれを統括するプロジェクトマネジメントを一貫して実施する体制を持つ世界トップクラスの総合プラント メーカーです。これまで建設中も含めて国内で23基の実績があります。この中で、とりわけ、最新の改良型沸騰水型原子炉(ABWR)については全てのABWRプラントに参画(国内運転開始済4基、国内建設中3基)しています。海外では、台湾の龍門原子力発電所向けに、主要な原子炉設備を納入しています。

日立とGEの原子力事業分野での協力関係について

日立とGEは、2007年に日本と米国に原子力発電所の建設ならびに保守・サービス事業を行う合弁会社を設立しました。日本に本拠地を置く合弁会社は日立GEニュークリア・エナジーで、日立が約80%、GEが約20%を、米国に本拠地を置く合弁会社は、GE日立ニュークリア・エナジーで、GEが60%、日立が40%を出資しています。両社は、これまで培ってきたノウハウ、経験を生かしながら、グローバルに事業活動を推進しています。

以上