GE日立が困難な作業を簡素化し迅速化する新技術を開発

新しい遠隔操作ツールで原子力発電所の保守作業を支援

【ノースカロライナ州ウィルミントン-2015年3月24日】- GE日立ニュークリア・エナジー(以下、GEH)は、このたび、エクセロン・ジェネレーション(以下、エクセロン)との協力により、原子炉の底部で原子力技術者が行う作業をより迅速かつ安全なものとする、画期的な新しい遠隔操作ツールを開発しました。

今回開発した新しいツールを使用することにより、予防保全における保守作業の際に、制御棒(発電量を制御する機器の一部)を原子炉の底部でブレードから取り外す(アンカップリング)作業を遠隔操作で行うことが可能になりました。バッテリー駆動の無線機器を利用するこの新しいツールを活用することにより、作業員の被ばく量を最小限に抑えるだけでなく、保守のため停止中の原子炉圧力容器において、複数の作業を並行して進めることができます。また、このツールで、アンカップリング作業に伴う放射線被ばく量を60%まで低減できることを実証しています。

「この遠隔アンカップリングツールはGEHの独自技術であり、GEHが顧客からの最も困難な要求を解決できる卓越したソリューションを有することを示す一例でもあります。さらに、3Dプリンター技術を活用することで、この新しいツールの市場投入を数ヶ月早め、金属製モックアップの製作にかかる費用を削減しました」と、GEHの原子力サービスおよび燃料部門の副社長であるケビン・ウォルシュは述べています。

このツールは、ノースカロライナ州ウィルミントンにあるGEH本社で3Dプリンターにより作られたプロトタイプをベースにしており、イリノイ州モリスのドレスデン原子力発電所と、ペンシルバニア州デルタのピーチボトム原子力発電所で最近実施された保守作業に使用され、成果を収めました。両発電所は、米国最大の原子力発電事業者であるエクセロンにより運転されており、ピーチボトム発電所では合計19台、ドレスデン発電所では合計25台の駆動機構が、このツールによりアンカップリングされました。

エクセロンが運転する14か所すべての発電所の燃料供給業務を監督している同社副社長のデイヴ・ローズは、次のように述べています。「我々はあらゆる業務で、安全性を最優先事項としています。GEHと共に、原子力発電所における作業工程の安全性をより一層高めるツールを開発できたことを、喜ばしく思います」

制御棒ブレードは、中性子吸収材を内包している長い十字型の金属管の部品で、炉心内で燃料集合体に隣接して配置されます。運転員は、遠隔操作でこのブレードの位置を調整して発電量を管理します。

運転停止中に制御棒ブレードを取り外すためには、原子炉圧力容器の下にある駆動機構からブレードをアンカップリングする必要があります。圧力容器の下からアンカップリングできなかったブレードは、圧力容器の上にある燃料交換フロアからアンカップリングをする必要があり、保守作業時間の増加につながります。

今回新たに開発されたツールにより、ドレスデン発電所とピーチボトム発電所における保守作業時には、燃料交換フロアからのアンカップリングを行わずに済み、フロアジャッキの使用や鋼板の取り外しなど、多くの労働力を必要とする工程は必要ありませんでした。

3Dプリンターから作られたプロトタイプが実際に沸騰水型原子炉で動作している動画や、ツールの詳細は、下記のウェブサイトをご覧ください。
https://nuclear.gepower.com/service-and-optimize/solutions/all-solutions/remote-uncoupling.html

GE日立ニュークリア・エナジー(GEH)について

米国ノースカロライナ州ウィルミントンに拠点を置くGEHは、先進の原子炉および原子炉関連のサービスを提供する世界有数の企業です。GEHは、2007年6月にGEと日立製作所の原子力分野の事業提携により設立されました。原子力分野における新たな提携関係の締結により、GEと日立製作所は統一の戦略的なビジョンを掲げ、より広範なソリューションを提供するとともに、原子炉の新設や原子力関連サービスを提供する機会を拡大していきます。この提携関係は、世界中のお客さまに原子炉の性能、出力、および安全性の向上を実現するために必要な技術的リーダーシップを提供します。

GEHの圧力容器下トレーニング施設で、技術者が遠隔アンカップリングツールを操作している様子(ノースカロライナ州ウィルミントン)

GEHの圧力容器下トレーニング施設で、技術者が遠隔アンカップリングツールを操作している様子 (ノースカロライナ州ウィルミントン)

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