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Hitachi GE

日立GEニュークリア・エナジー株式会社

当社は、原子力発電施設の建設実績と、運転中プラントにおける定期検査や保守工事の実績をもとに、原子力発電施設における廃棄物処理技術および廃止措置技術開発に取り組んでいます。 ここでは、当社の原子力発電施設に対する廃棄物処理、廃止措置技術として、廃棄物処理・放射能測定・化学除染・切断の分野を取り上げ、各技術分野毎に、概要と特徴ならびに開発状況を紹介します。

放射性廃棄物処理設備

原子力発電所の運転に伴い発生する放射性廃棄物を気体状・液体状・固体状に分類し、放射性廃棄物処理設備にて適切で安全な処理を施しています。

排ガスなどの気体状廃棄物は放射能の減衰やろ過などにより十分に放射能濃度を低くし安全を確認しながらスタックを通して更に希釈拡散させながら大気中に放出します。

機器からの廃水、洗濯廃液などの液体状廃棄物は、放射性物質、固形物、有機物などをろ過、蒸発濃縮、脱塩等により除去し、発電所内で再利用するか、十分に安全を確認した上で、放水口より海水で希釈しながら海洋へ放出しています。

固体状の放射性廃棄物については放射能濃度が比較的低い濃縮廃液や雑個体についてはセメントやモルタルなどで固めてドラム缶に密閉しその後、青森県六ヶ所村にある日本原燃(株)低レベル放射性廃棄物埋設センターに輸送され、埋設処分されます。放射能濃度が比較的高いものは減衰させた後にセメントなどで固めてドラム缶に密閉する計画です。

インドラム式セメント混練固化システム

原子力発電所から発生する放射性廃棄物については、発生源での発生量低減、発生後の廃棄物の安全な貯蔵と固型化処理を基本方針に、信頼性、経済性向上に関する種々の技術開発がなされています。液体廃棄物を濃縮した濃縮廃液や使用済みイオン交換樹脂は、セメント等の固型化材を用いて均一に固型化処理されます。当社のインドラム式セメント混練固化システムは、シンプルな設備構成、高い充填率、かつ、洗浄水の再利用による二次廃棄物の低減などを特長としており、実廃棄物の固型化処理が行われています。

連続式モルタル充填固化システム

原子力発電所の点検等で発生する不燃性雑固体廃棄物の固型化処理の方法としては、適切に分別・減容した廃棄物を収納したドラム缶の間隙にセメントモルタルを注入して固型化されます。連続式モルタル充填固化システムは、水と固型化材料を連続的に混合・混練するコンパクトなシステムであり、複数の発電所に納入され、実廃棄物の固型化処理が行われています。バッチ式システムと異なり、1回の混練量に制限がないため、廃止措置時の大型解体廃棄物処理における大容量化のニーズに適したシステムです。

低レベル放射性廃棄物搬出検査装置

原子力発電所で発生する低レベル放射性廃棄物は、セメント等の固型化材を用いてドラム缶に固型化処理した後、低レベル放射性廃棄物搬出検査装置で埋設規準に適合していることを検査し、適合が確認されたものが青森県六ケ所村の低レベル放射性廃棄物埋設センターへ輸送されます。一連の検査(外観、重量、表面汚染密度、線量当量率、放射能濃度)は自動で実施され、廃棄体は輸送用コンテナへ収納されます。当社では複数のプラントに納入し、約30年の運用実績を有しています。

原子力発電施設の廃止措置段階における化学除染技術

運転プラント従事者の被曝低減を目的として開発された当社の化学除染技術 [HOP (Hydrazine Oxalic Acid Potassium Permanganate) 法]は、高線量の配管や機器などを対象に、国内外で多数の施工実績があります。この化学除染技術は廃止措置プラントでの適用実績もあり、原子炉圧力容器のような大容積かつ高線量の構造物に対しても施工が可能です。今後も、廃止措置におけるさまざまなニーズに応じた技術開発を継続し、国内外の廃止措置市場での展開を図ります。

HOP法の概略手順

使用済制御棒切断技術

使用済み制御棒は余裕深度処分の対象として埋設処分を計画しています。制御棒は全長約4m に対し、余裕深度処分容器に保管するため、使用済み制御棒の収容には切断処理が必要となります。一方、使用済み制御棒を短冊に切断するとその内包物であるB4C 粉体が水中へ拡散し、汚染の拡大とその2 次処理負担の増加が生じます。使用済制御棒切断装置で内包物の拡散防止を目的にプレスと水中プラズマ溶断を組み合わせた切断技術を開発しています。