英国の原子炉包括設計審査が第2段階に進展

2014年1月6日
日立GEニュークリア・エナジー株式会社

英国政府の原子炉規制関連機関は、同国向け改良型沸騰水型軽水炉(以下、UK ABWR)の包括設計審査 (以下、GDA: Generic Design Assessment) を第2段階に進めることを決定し、本日、公表しました。日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (以下、日立GE) は、この決定を歓迎いたします。

日立GEは、GDA第2段階の開始に併せて、英国の一般市民および関係者の参加を求めるため、原子炉の技術を解説し、設計に関するコメントを収集するための専用ウェブサイト(www.hitachi-hgne-uk-abwr.co.uk)を開設しました。これはGDAの主要なプロセスであり、全てのコメントに回答が作成され、問い合わせは回答と共に、規制関連機関とも共有されます。

このGDAプロセスは、特定の原子力発電所開発に限定されるものではなく、UK ABWRに関しては、現状、ホライズン・ニュークリア・パワー社(以下、ホライズン社)が2箇所で採用計画をしています(アングルシー島のウィルヴァ・ニューウィッド、およびサウスグロスターシャー州オールドベリー・オン・セヴァーン)。

日立ヨーロッパ社英国原子炉規制許認可担当ジェネラルマネージャの佐藤憲一は、次のように述べています。「GDA第2段階の開始は、英国の新規原子力発電所建設プロジェクトにおいて、UK ABWRの建設を可能にするための大きな前進です。数百万規模の家庭や企業に、安全で、環境に優しく、かつ安価なエネルギーを提供するだけではなく、地元に数千人の雇用を創出するでしょう。」

「昨年4月に規制関連機関との間で審査に関する覚書を締結して以来、我々の規制関連機関との協同作業は極めて順調に進展してきました。次の段階に進めることを大変嬉しく思っています。」

「日立GEのウェブサイトでは、設計に関する情報を提供しており、原子炉について明確なイメージを描くことができます。このABWRは現時点において、商用稼働中の原子炉として世界でも最先端レベルのものです。既に4基が建設され、更に3基が建設中です。UK ABWRは、英国の将来を担う、安全、安心、かつ低炭素の発電所として、長きにわたり中心的な役割を果たすと期待されています。」

ホライズン社COOのアラン・レイマントは、次のように述べています。「GDAは、ホライズン社のプロジェクトの成否に関わる重要なプロセスです。日立GEと規制関連機関が第2段階に進み、ウィルヴァおよびオールドベリーでの原子力発電所建設に向けた重大なマイルストーンを通過したことを、非常に喜ばしく思います。これはまた、ホライズン社が採用予定の原子炉設計に関する対話および情報提供という意義深い段階に至ったことを示しています。年内には、1つ目の建設予定地であるウィルヴァ・ニューウィッドに関する計画のパブリック・コンサルテーションを実施する予定です。」

報道向け関連情報:

  • 日立GEの改良型沸騰水型軽水炉(ABWR: Advanced Boiling Water Reactor)は、既に3つのサイトで合計4基の建設実績があり、 海外でも3か国で認可を受けています。2013年の春には、英国原子力規制庁(ONR: Office for Nuclear Regulation)および環境庁(EA: Environment Agency)と審査に関する契約を締結しました。これにより、GDAが開始されています。
  • GDAプロセスの第2段階に合わせて、ウェブサイト(www.hitachi-hgne-uk-abwr.co.uk)が開設されました。原子炉の設計を解説し、主要な機能を紹介しています。
  • このウェブサイトでは、原子炉の設計や、日立GEから規制関連機関への提出物に関し、コメントや質問を投稿することができます。ただし、このプロセスでは英国政府の原子力エネルギー政策に関する議論は対象外となっており、ホライズン社が提出した開発計画に関する合意と重なるものではありません。
  • 日立GEと英国の原子力規制関連機関の双方とも、地元など一般に向けた情報公開および意見の収集を積極的に推進しており、ウェブサイト開設については、英国の議員、関連諸委員会、職員、地域団体、および各NGOに広く通知しています。
  • GDAのプロセスは、英国原子力規制庁(ONR: Office for Nuclear Regulation)、環境庁(EA: Environment Agency)、およびウェールズ自然保護機関(NRW: Natural Resources Wales)により主導されています。審査について、これらの機関による共同ウェブサイトがあります(www.hse.gov.uk/newreactors)。
  • 日立GEは、2007年7月に日立製作所と米国ゼネラル・エレクトリック社の合同事業として設立されました。プラント建設のすべてを扱う世界的リーダー企業の1つとして、原子炉向け設備機器の企画開発、設計、製造、検査、設置、試運転、および保守を手がけるほか、案件のとりまとめ事業の遂行もしています。
  • 日立GEは、日本国内において原子炉23基(建設中含む)に携わっています。改良型沸騰水型軽水炉(ABWR: Advanced Boiling Water Reactor)については、日本国内のすべてのプロジェクトに参画しています。海外では、台湾の龍門原子力発電所に、主要な原子炉設備納入の実績があります。

ホライズン・ニュークリア・パワー社について

ホライズン社は、政府が低炭素社会の実現に向けて推進する英国において、新たな原子力発電 所の建設を目的として2009年に設立され、2012年11月に日立により買収されました。日立とホライズン社は、英国において世界で唯一運転実績を持つ第三世代の原子炉である改良型沸騰水型原子炉(ABWR:Advanced Boiling Water Reactor)技術を用いた原子力発電設備の建設を進めています。
今回、英国・財務省と資金調達に関して、今後協議していくことで合意した「ウィルヴァ・ニューウィッド」プロジェクトは、2018年までに主要なライセンス、許認可などの取得を見込んでおり、2020年代前半に、初号機が運転開始される見込みです。また英国政府の債務保証スキームは、投融資を必要とする社会インフラ案件を推進、支援するために、2012年10月に制定、導入されたものです。本日調印された合意により、「ウィルヴァ・ニューウィッド」において英国債務保証スキームの活用検討が可能となります。なお、原子力発電所建設にあたり、各サイトの建設には20,000を超える業務が発生し、各サイト毎に、建設段階では約6,000人。また発電所の運転開始以降は、最大1,000程度の雇用を創出することが見込まれています。

以上