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Hitachi GE

日立GEニュークリア・エナジー株式会社

令和2年5月28日
日立GE ニュークリア・エナジー株式会社

  • GE Researchが中心となり、エクセロン、オークリッジ国立研究所、テネシー大学ノックスビル、およびGE日立・ニュクリアエナジーと協力し、人工知能対応の予知保全デジタルツイン開発プロジェクトを推進
  • MITが中心となり、GE ResearchとGE日立・ニュクリアエナジーが協力し、BWRX-300の重要部品のデジタルツイン構築プロジェクトを推進
  • 両プロジェクトのリファレンス設計としてBWRX-300小型モジュール炉を活用

2020年5月14日 - 米国のエネルギー省(以下DOE)は、GE日立・ニュクリアエナジー(以下、GEH)の小型モジュール炉BWRX-300をリファレンス設計とし、人工知能対応デジタルツインを用いた改良型原子炉の新たな運用・保守ツールの開発に2つの業界専門家チームへ助成金を拠出することを発表しました。

GE Researchとマサチューセッツ工科大学(以下、MIT)は、DOEのARPA-E(エネルギー高等研究計画局)のGEMINA(インテリジェント原子力資産により管理された発電)プログラムを通して、人工知能と改良型モデリング制御を使用した改良型原子炉のデジタルツイン技術の開発プロジェクトに対する助成金を受け取りました。

GE Researchを中心としてエクセロン・ジェネレーション(以下、エクセロン)、オークリッジ国立研究所(以下、ORNL)、テネシー大学ノックスビル、およびGEHで構成されるチームは、BWRX-300の重要部品のデジタルツインを構築し、リスクを考慮した判断を下すために人工知能の予測技術を利用する予定です。米国最大の原子力発電所を運転するエクセロンは、膨大な経験に基づくデータを生かし、改良型原子炉の運用・保守費用を削減するためのモデルと目標に情報を提供します。

MITを中心としてGE ResearchとGEHで構成されるチームは、新しい予知保全のアプローチとモデルベースの故障検知技術の向上に努め実証する予定です。デジタルツインでは、運用・保守業務に伴う機械的疲労と熱疲労による故障モードに取り組みます。

GEH・原子力担当取締役副社長 Jon Ball のコメント

「プロジェクトに結集したチームには、素晴らしい知識と経験があります。AIおよびデジタルツインは、大変革を起こすクリーンエネルギー・ソリューションの開発を補完し、さらなる運用費用の削減を実現するでしょう。私たちは、ARPA-Eプログラムを通して、米国の原子力産業の競争力を支えているDOEを高く評価しています。」

GE Research・上級AI科学者 / AI対応予知保全デジタルツインプロジェクトのリーダー Abhinav Saxena 氏のコメント

「GEは、航空、輸送、および原子力エネルギーを含むエネルギー業界にまたがる一連の製品やサービスにおいて、120万件を優に超えるデジタルツインを開発し導入してきました。このチームが両プロジェクトを通して、原子力エネルギー業界へ用途を広げることを嬉しく思います。また、GEによるデジタルツイン技術と斬新なHumble AIのコンセプトの改良型原子炉への応用を楽しみにしています。Humble AIは、安全性、信頼性や性能が欠かせない重要な業界のインフラにAIが統合される中で生まれ、これにより安全性と信頼性を維持し向上させつつ、さらに優れた性能とサービスの提供が可能となります。」

Saxena 氏は、GEが既に風力タービンやガスタービン燃焼においてHumble AI技術の試験を行っており、いずれも効率性とエネルギー出力の向上につながっていることも述べています。目標は、運用・保守費用の削減とプラントの自動化に併せて、同じ利点を原子力分野にもたらすことです。このプログラムにおいて開発されたデジタルツインとHumble AI技術は、原子力分野においても同様の効果を発揮し、保守業務を時間ベースから状態ベースへ変換させ、自動運用への道筋を切り開くことが期待されます。

エクセロン社・原子力部門の戦略&開発担当副社長 Marilyn Kray 氏のコメント

「この提案は、最先端の人工知能技術に基づいています。エクセロンは、プラントのデータと電力会社としての運転経験を活かし、この構想のサポートができることを喜ばしく思います。」

テネシー大学ノックスビル・原子力工学部 Jamie Coble 博士のコメント

「GE Researchが結集したチームにより、最先端のBWRX-300原子炉設計と最新で大規模なBWRの教訓が組み合わされることでリスクを考慮した意思決定が可能となり、将来の原子力業界における安全でコスト効率の良い最適な保守に向け大きく進歩するでしょう。」

ORNLの技術リーダー Pradeep Ramuhalli 氏のコメント

「運用・保守費用の削減は、原子力エネルギーの競争力強化に不可欠です。デジタルツイン技術は、プラントの運用、システム再構成、また予知保全に関し、安全性を損なうことなくコストを最適化するリスクを考慮した判断を可能にすることで、運用・保守費用削減の手段を原子力発電所に提供します。」

MIT・原子力理工学部 Emilio Baglietto 教授のコメント

「MITの原子力理工学部は、DOEの支援により数理流体力学(CFD)の形で原子力産業の高機能シミュレーションへの移行を加速化させるべく、膨大な努力をしてきました。私たちは、GEと協力する機会を得られたこと、そして、この技術の発展が原子力エネルギーの経済性向上に多大な影響を与え、次世代の原子力発電所の導入をいかに支えることができるか証明するチャンスを得られたことを光栄に思います。」

BWRX-300は、米国原子力規制委員会(以下、NRC)の許認可を得たGEHのESBWRの設計と許認可の基礎的部分を活用したもので、パッシブセーフティシステムを備えた300MWeの水冷却型自然循環小型モジュール炉です。設計の飛躍的な簡易化により、他の水冷却型小型モジュール炉の設計や既存の大型原子炉の設計と比較した場合に、BWRX-300ではMWあたりの資本コストが大幅に削減されると、GEHは推定しています。

BWRX-300に対して、既存のESBWR設計証明書の有用性を生かし、認可と認証を受けた核燃料設計の活用、認証済み部品とサプライチェーンの利用、ならびに簡素化と創意工夫の取り入れを行うことにより、GEHは、サイクルガスプラントと再生可能エネルギーを併せ持つプラットフォームからの発電をコスト競争力のあるものにすることができると考えています。GEによる最初の沸騰水型原子炉(以下、BWR)の設計から10代目となるGEHのBWRX-300は、1955年にGEが原子炉の商業化を開始後、最も簡素且つ革新的なBWR設計となっています。

GEHは、この技術の発展に向けて大きな進歩を遂げ続けています。今年1月、GEHは、第一回目のトピカルレポートをNRCへ提出し、米国における規制許認可手続きの正式な開始を発表しました。2月には、カナダ原子力安全委員会へ第一回目の報告書を提出したことを発表しました。ポーランド、チェコ共和国やエストニアを含む複数の国も、エネルギーミックスの一環として、BWRX-300へ興味を示しています。

GE日立・ニュクリアエナジーについて

米国ノースカロライナ州ウィルミントンに拠点を置くGE日立・ニュクリアエナジー(GEH)は、改良型原子炉および原子炉関連のサービスを提供する世界有数の企業です。GEHは、2007年にGEと日立製作所の原子力分野の事業提携により設立されました。原子力分野における新たな提携関係の締結により、GEと日立製作所は統一された戦略的なビジョンを掲げ、より広範なソリューションポートフォリオを提供するとともに、原子炉の新設や原子力関連サービスを提供する機会を拡大します。この提携関係は、世界中のお客さまに原子炉の稼働率、出力、および安全性の向上を実現するために必要な技術的リーダーシップを提供します。GEHについては、LinkedInTwitter などでフォローしてください。

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